曽野綾子

周囲の反対の中で、敢えてその道を選ぶ、という行為の中には、密かな「祝福の気配」もあるということを世間は意外と知らない。偶然だが、私は流行の、得になるような職業上の花道を選んだのではなかった。ほかに選びようのない人生を歩く時、人は不思議な静寂さも贈られるのである。